ジャズ界のモンスターとは、もちろんプレイヤーとしての評価であるが、彼の場合それ以外に多くの要素が付いて来る。見てくれもモンスター、演奏スタイルも容姿以上にモンスターなのだ。その場の空気を一変させてしまうほどの圧倒的存在感とはガマ蛙のような面構えと、土足で人の心に踏み込んで来る圧倒的で強烈な演奏に尽きる。ジャズの歴史においてバップ~モード~フリー~フュージョンと移り変わり、音楽が洗練されたものになっていく過程で失われてしまった荒々しいブルースフィーリングを、常に持ち続けプレイする。凄まじい気合いと強烈な個性、ジャズの魂を確認するには最高のアルバムではないだろうか。
●ディジー・ガレスピー(tp,vo)アーネット・コブ(ts)ジュエル・ブラウン(vo)ポール・イングリッシュ、ケニー・アンドリュース(p)クライトン・ダイス(g)デリク・ルイス(b)マイク・ルフェーブル(ds)ほか
1987年8月10日録音 FANTASY